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2024年6月22日学長就任イベント
「Z世代の女性と大学教育―女子大学からジェンダーと
大学教育を問い直す―」を受けて
2024年6月30日
新学長就任イベントに寄せて~多様性を担保する女子大の役割と本センター(Gem)の存在意義~
6月22日、小檜山ルイ新学長の就任イベントがありました(本ジェンダースタディーズセンター主催)。津田塾大学学長の高橋裕子先生、東京大学副学長の矢口祐人先生、同志社大学研究科の三牧聖子先生をお迎えして、大学という場におけるジェンダー格差に関して、さまざまな議論が行われました。
このシンポジウムの内容は、本学のみならず、日本社会全体に向けて発信されたもので、大変示唆に富むものでした。Gem(本ジェンダースタディーズセンターの愛称)にとっても、極めて意義深く、今後のセンター運営の礎にしたいと考え、ここで振り返っておきたいと思います。
まず、女子大の意義とは、ジェンダーギャップ指数(118位、2024年)が著しく低い日本のような国において、ジェンダー平等の達成や、高等教育における多様性を担保するために必要不可欠な場であることが、確認されました。
大学の歴史をみれば、男性のいる場所に女性が参入したという経緯があり、これを指して「男女共学」であるという合意ができました。しかし、教室に女性が参入したことだけを指して、「共学」であると主張するのは、あまりに表面的な見方でしかないことが、シンポジウムを通じて明らかにされました。
大学には、学生だけでなく教員もいます。事務組織もあれば評議会や理事会などの意思決定機関もあります。しかし、どれだけの「共学」の大学が女性を学長や理事長に据え、そしてどれだけの大学が事務のトップを女性にしているのでしょうか。現実は、まだまだ多様性を欠いています。
本シンポジウムは、日本の高等教育におけるジェンダー格差に目を向け、共学大学における格差を指摘する一方、女子大がジェンダー平等や多様性を遂行し得る場であることを確認する、斬新なものでした。
小檜山学長は、日本におけるこうした歪みを是正するためには、社会として「女性をリーダーにする強い意志を継続的に持ち続けることが必要である」と主張しました。女子大は女性の経験の積み重ねの上に成り立つ空間やしくみを維持することができるため、高等教育における多様性が担保される重要な場所である――そしてその中から女性リーダーを生み出すことができる稀有な場である、と述べたのです。
一方、女子大に対する批判(女子大は男性を排除している等)も存在します。しかし、そもそも不平等な社会やいびつな男女格差がある高等教育の場を是正することから眼をそむけて、女子大を批判することがいかに的はずれであるか、パネリストたちは指摘しました。女子大の意義や役割というのは、守るべきものであり、それを批判することは、多様性を欠いた高等教育や、不平等な社会構造そのものに加担することにつながるのです。
小檜山学長をリーダーに据えた本学は、女子大にも共学と同様の問題があったことを省察し、これからは女性のための場をつくり出し、そこで共有される女性の経験に基づく仕組みや教育を発信し、そこでリーダーシップを持つ女性を輩出してゆく――そんな思想とコミットメントを持つ大学として、自らを再定義してゆくことになります。これは、大きな第一歩となるに違いありません。
わたしたちジェンダースタディーズセンターも、ジェンダー教育や研究、そして、それに基づくリーダーシップ養成を根幹に据えたキャリア支援や教育を推進してゆく場であることが、あらためて明確になりました。
Gem教員一同
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